10.冬景色

さ雾(ぎり)消ゆる凑江(みなとえ)の
舟に白し、朝の霜。
ただ水鸟の声はして
いまだ觉(さ)めず 岸の家。

乌啼(からすな)きて木に高く、
人は畑(はた)に麦を踏む。
げに小春日(こはるび)ののどけしや。
かえり笑(ざき)の花も见ゆ。

岚(あらし)吹きて云は落ち、
时雨(しぐれ)降りて日は暮れぬ。
若(も)し灯火(ともしび)の漏(も)れ来ずば、
それと分かじ、野边(のべ)の里。

それと分かじ、野边(のべ)の里。